国際結婚について考える



日本人とフィリピン人の国際結婚について

日本人とフィリピン人の国際結婚

■国際結婚の現実は甘くない      







 国際結婚は異なる文化の人同士が一緒に生活するのであり、そこには通常の結婚の場合以上にお互いの理解が必要である。しかし、近年急増している日本人男性とアジア系の女性との結婚の場合、日本人男性側に女性側の文化に対する認識・理解が足りないということがよく言われる。ここで特に問題になってくる「文化」とは主に言語と宗教である。80年代以降その数を急速に増やしてきた日本に住む日本人男性とフィリピン人女性のケースを例にとり、他文化のもとで暮らしてきた人と一緒に生活する場合、どんなことに気をつけたらいいかを考えてみたい。

(1)言葉の問題
 まず、言葉に関してであるが、最も基本的なコミュニケーション手段であるためこれを欠かすことはできない。フィリピン人は公用語であるタガログ語の他、スペイン・アメリカの植民地時代を経験していた影響で、英語を話せることが多い。そのため、日本人も(フィリピン人男性と同じくらいに)英語を話せると思っている。しかし、実際には話せない。フィリピン人妻が英語を使えても、地域社会で英語が通じるわけがない。そして孤立してしまうというケースもある。そこでフィリピン人女性の方が日本語を習得することを求められる。しかし、男性が協力的であるかというと決してそうではない。男性は自分のプライバシー(手紙や電話の内容)を秘密にしておきたい人も多く、フィリピン人女性が日本語を学ぶことを嫌がるというのだ。八方ふさがりの状況で悩んでしまうこつになる。

(2)文化の問題
 次に宗教に関してであるが、フィリピンは国民の大部分がカトリックである。結婚に関して問題になってくるのはカトリックでは離婚を認めないということである。離婚なんて結婚するときには考えない。後で、大きな問題となる。離婚できるか、できないかは本来どちらかに有利、不利となるわけではない。しかし、実際にはその主導権を男性側が握っている。男性が浮気をしたときに離婚される可能性のある女性は強い態度に出られない。多くのフィリピン女性は自立できるような経済力を持っていないし、持てる環境に立つのも困難な状況下にある。また永住権をとれるわけでもないので、離婚したら日本に住めるとも限らない。子どもがいる場合には、子どもと離れ離れになってしまう(父親の家族にとられしまうことが多い)のだ。離婚や死別により日本人との結婚が解消されると外国人配偶者は次回のビザ更新時に同じ在留資格は得られない。別な見方をすれば、この「配偶者」資格によって、押さえつけられ我慢し、自由を奪われている。あるいは弱い立場に置かれていることもあるだろう。つまり、家庭内で虐待を受けたり、離婚したくても何らかの事情で本国へは帰国できない女性を、在留資格によって弱い立場に追いやっている可能性があるのである。
それに対し、フィリピン本国の場合、離婚ができないため、男性はいつか、配偶者のもとに戻ってくる。もし戻ってこなくても離婚されることはない。離婚できないことがいいことだとは思わないし、むしろ離婚が両性にとって平等に行使できる状態であるのならばそちらの方が望ましい。しかし、離婚ができないという環境下で育ってきた人たちが離婚されるかもしれないことを知り、不利な立場に陥りショックを受けることを配偶者となる日本人男性は十分に認識するべきであろう。また逆に、結婚する前にフィリピン女性の側もそのことをしっかりと理解できるような環境づくりが必要であるはずだ。

 一般に『夫婦の関係が比較的平等で、配偶者の家族の他文化が理解されているという特徴を持つ「現地出会い型」(日本人男性が海外赴任中あるいは旅行中に出会い、結婚したタイプ)では、日本人の夫の家族とも、本国の家族とも問題は少ない』と言われているが、それでも同じ問題がつきものである。それ以外の「仲介型」と呼ばれる、行政の仲介によって見合いし結婚した者や「日本人花嫁」としてブローカーによって斡旋され結婚した者などは、さらに多くの問題を抱えているといえる。たとえば農村花嫁としてやってきた彼女たちを迎え入れる家庭は、若い日本人女性が敬遠する傾向にある「家」制度に則った習慣や価値観を持つ傾向がある。日本にやってくるフィリピン人女性は、キリスト教という宗教上の理由から、あるいは比較的高学歴という理由から、結婚における夫婦の愛情重視と個人主義という価値観を持ち合わせていることが多い。しかし日本人男性の結婚における認識は夫婦の愛情重視や個人主義という価値観ということより、労働力として、あるいはお手伝いさん代わり、セックス処理などの目で見ており、女性にストレスが発生する重要な原因となっている。

 また、フィリピン女性の場合、母国の家族へ仕送りをしている場合が多く、なかには夫や夫の家族に内緒で送金している場合もある。しかし、妻が外で働くことを「世間体が悪い」という理由で認めない夫も多い。このためフィリピン女性は本国の家族と夫の間で、板挟みとなり、苦しい立場に立たされている。旧来の慣習や制度を維持するという発想を脱却し、今日の家庭事情や結婚事情にあった地域社会づくりと意識の改革が求められている。これは、山村に住み、農家を営む大家族といったような「典型的な日本の」家族だけがこのような旧来の慣習や制度にとらわれていると言うのではない。郊外に住み、近代的な生活をしている核家族などでも、日本人特有のこのようなことがたくさんある。フィリピン女性を家庭に押し込めようとすることなどはその最たるものであろう。このような慣習・制度はそれ自体悪いものでなくても、それがフィリピンを傷つけるものになったとき、またはその可能性があると分かったときには改善するように努力しなければならないだろう。決して、自分とは無縁のことではないはずだ。



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