■子供の国籍
●子供の出生に関連する手続き
将来、子供たちがどこに住むのか、どの国の国籍になるのか、選択できる可能性はたくさん残しておいてあげたいものです
国際結婚カップルは、子供が生まれたときにも様々な手続きをしなければなりません。ただ役所に出生届を出せばいい、というものではないのです。
子供が生まれたとき、考えておかなければならないことは大きく2つあります。それは、子供の国籍と姓(名字)についてです。
国籍に関しては、日本とパートナーの国の国籍法を知らないと、子供が将来日本国籍を失う可能性が出てきます。また、子供の姓は新戸籍の作成云々に関わってきます。
まず最初に知っておきたいことは、新生児の国籍についての知識です。国際結婚カップルの子供は、生まれた瞬間に複数の国籍を取得する場合があるからです。
『国籍の選択』の記事でも少し触れましたが、これには各国の国籍法が大きく関わってきます。
国籍法には、「血統主義」と「生地主義」があります。
「血統主義」は、親がその国の国民であれば、子供は外国で生まれても、血統により親の国籍を取得するというものです。
「血統主義」はさらに2つに分けられ、父親の血統だけを重視する「父系優先血統主義」と、父と母の両方の血統を認める「父母両系血統主義」があります。
日本は「父母両系血統主義」を取っています。両親のどちらかが日本人であれば、どの国で生まれようと、子供は日本の国籍を取得できるのです。
「生地主義」は、両親の国籍に関係なく、自国の領域内で生まれた子供には、その国の国籍を付与するというものです。南北アメリカのように、移民を多く受け入れてきた多民族国家では、生地主義をとる国籍法が多いようです。
たとえば、日本人の両親から生まれた子供でも、アメリカで生まれた場合、アメリカ国籍を得られます。
そのほか、「父母の一方が市民権を有するか、または国内に定住していること」などの条件付きで「生地主義」を採用している国もあります。
なお、各国の国籍法は改訂されることがありますので、大使館や領事館などで最新の国籍法を確認しておくことも重要です。
(1)父母両系血統主義の国の例
日本、アイスランド、イスラエル、イタリア、エチオピア、エルサルバドル、オーストリア、オランダ、ガーナ、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、スロバキア、タイ、中国、韓国、デンマーク、トルコ、ナイジェリア、ノルウェー、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア など
(2)父系優先血統主義の国の例
アラブ首長国連邦、アルジェリア、イラク、イラン、インドネシア、エジプト、オマーン、クウェート、サウジアラビア、シリア、スーダン、スリランカ、セネガル、マダガスカル、モロッコ、レバノン など
(3)両系血統主義だが、条件付きで生地主義を採用している国の例
イギリス、オーストラリア、オランダ、ドイツ、フランス など
(4)生地主義を採用している国の例
カナダ、アメリカ、ブラジル、アイルランド、グレナダ、ザンビア、タンザニア、ニュージーランド、パキスタン、バングラデシュ、フィジー など
●相手の国の国籍法の違いによって、生まれた子供の国籍は次のとおりになります
(1)父母両系血統主義の国籍法……外国人の父親または母親の国籍と日本国籍を取得。
(2)父系優先血統主義の国籍法……父親がこの国の国籍をもつ場合、子供は父親の国籍と日本国籍を取得。
父親が日本人で、母親がこの国籍の場合、子供は母親の国の国籍を取得しないので、日本国籍のみとなる。
(3)条件付きで生地主義を採用……条件を満たしていれば、生まれた国の国籍と日本国籍を取得。パートナーが血統主義の国の国籍なら、パートナーの国の国籍も取得。
(4)生地主義……子供は、その国の領域内で生まれれば、その国籍と日本国籍を取得。さらにパートナーが血統主義の国の国籍なら、パートナーの国の国籍も取得。
以上は、概略です。実際の条件や手続きは国によって異なりますので、あらかじめ大使館などに問い合わせて確認する必要があります。
なお、日本の「国籍法」は1つの国籍しか認めていません。
●国籍留保制度
子供は自分の意志で二重国籍になったわけではありません。
将来どこに住むか分からないので日本国籍を保持しておきたい、また、親が決めてしまうのではなく子供に選択権を与えてあげたい、と思われる方のために、「国籍留保制度」というものがあります。これは、外国で生まれて二重国籍となった子供を対象としている制度です。
親が外国で出産し、その国にある日本の大使館か領事館に「出生届」を出す時(出生から3カ月以内に提出)、「国籍留保届」も一緒に届け出れば、子供は日本の国籍をそのまま保持することができます。
そして、22歳になるまでにどちらの国籍にするか、選択すればよいのです。
|